職業能力開発総合大学校の実に4割の卒業生が就く職業といえば、「職業訓練指導員(テクノインストラクター)」です。
一般的には聞き馴染みがない職業だと思いますが、実は免許が必要で、
雇用を支えるセーフティーネットとしての重要な役割を担っている職業になります。
今回はそんな職業訓練指導員の仕事内容、年収、職業大生が選ぶ魅力について詳しく解説していきます。
これを読めば職業能力開発総合大学校を卒業した将来が分かります。
職業能力開発総合大学校の就職についてはこちらで詳しく解説しているので参考にしてみてください。
職業訓練指導員とは
職業訓練指導員とは、在職者や求職者、学卒者などの方に、
公共職業能力開発施設や認定職業訓練施設などで、実際に仕事で使う技術の指導を行う職業です。
つまり専門学校の教師みたいなイメージになります。
また別名「テクノインストラクター」とも呼ばれ、雇用を支えるセーフティーネットとしての重要な役割を担っています。
職業訓練指導員の主な仕事内容
実は職業訓練指導員が行う訓練は、ものづくり、事務、介護サービス、プログラミングの分野に分かれます。
その分野の中でも、職業能力開発総合大学校の卒業生は自分が学習した専攻を専門分野にして教えます。
具体的には「スマート生産サポート科」「住環境技術科」「電気設備科」などの訓練コースを担当していくことになります。
- 技術を持っていない方に、次のステップとして技術力を提供する
- すでに技術者として働いている方に、スキルアップとして新たな技術を提供する
- 事業主からの要望に沿った研修を行い、企業成長のサポートをする
その中の仕事内容としては、就職に向けての技術のサポートだけでなく、キャリアコンサルティングや教材などの開発も行ったりしています。
職業訓練指導員の働き方
職業訓練指導員の勤務地は全国にあり、主な施設は4つに分類されます。
- 公共職業能力開発施設
- 認定職業訓練施設
- 民間の教育訓練機関や事業所
- 職業訓練を実施している法務省所管の矯正施設
各訓練施設によって労働条件などは異なるので、同じ仕事をしていても待遇に差が出ることがあります。
公共職業能力開発施設や法務省所管の矯正施設に勤務する場合、
地方公務員や厚生労働省管轄の独立行政法人の職員として働くため、労働条件は地方公務員とほぼ変わらないです。
しかし民間の教育訓練機関などでは、
企業のニーズに応じた訓練を実施するため、施設外での勤務や土日夜間の訓練指導が発生する場合もあります。
一方、認定職業訓練施設に勤務する場合は、基本的に一般企業の社員や職業訓練法人の職員として働くため、労働条件は施設によって異なります。
国や都道府県、市町村が設置した職業訓練を行うための施設です。
- 職業能力開発施設や障害者職業能力開発校
- 職業能力開発促進センター(ポリテクセンター)
- 職業能力開発大学校および職業能力開発短期大学校(ポリテクカレッジ)
職業訓練指導員の年収
職業訓練指導員の平均年収は以下のようになっています。
- 20代:300万円程度
- 30代:400万円程度
- 40代:500万円程度
- 50代:600万円程度
民間企業に比べれば30代までは給料が安いのですが、40代を超えれば民間と同等かそれ以上の収入が得られます。
また公共職業能力開発施設の場合、ほぼ倒産する事がないく、昇給、ボーナスが減ることもないでしょう。
公務員の年金制度もありますので、最後まで勤められれば老後は安泰です。
実際の求人はどうなっているのか
令和6年に新規募集されている公共職業能力開発施設では以下のようになっています。
職業訓練指導員免許取得者(地域手当含む 0%~15%)
【令和5年4月新規大卒採用者の例】
月額220,100円~253,115円
【令和5年4月新規大学院卒(修士)採用者の例】
月額233,800円~268,870円
諸手当:扶養手当、通勤手当、住居手当、超過勤務手当 等
賞与:年2回(令和4年度実績 4.4カ月)
(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構
また経験者15年目の方が職業訓練指導員になる場合の例としては以下になっています。
参考:採用予定日に37歳大卒かつフルタイムでの関連実務経験15年で採用された場合は、月額34.5万円程度(採用1年目)となります。
この場合の年収は、採用1年目で520万円程度、採用2年目で590万円程度となります。
(注)
○令和5年4月1日に採用された場合の給与水準による試算。
○月額は俸給、地域手当(※勤務地により0%~15%)の合計。
上記の地域手当は、千葉市内に勤務する場合(俸給の15%)
○年収は俸給、地域手当、賞与(いわゆるボーナス)の合計。
○賞与:1年間に俸給等の4.4か月(※令和4年度実績。なお、採用1年目は、4月以降の8か月分の算定となります。)
○上記以外にも、規程に基づき、該当者には諸手当(扶養手当、住居手当、通勤手当、超過勤務手当等)が支給されます。
(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構
日本の平均年収から考えても良い水準ですね。
職業能力開発総合大学校生が職業訓練指導員になるには
職業訓練指導員になるのは、職業能力開発総合大学校生にとってみれば道のりは比較的簡単です。
3年次に指導員養成のための「指導力習得コース(144時間)」を併せて修了すれば、卒業と同時に免許取得が可能。
しかし日ごろから、きつい勉強時間以外にきちんと授業や実習に取り組む必要があります。
職業訓練指導員に求められる資質やスキル
免許自体は比較的簡単に取得できますが、職業訓練指導員には担当する分野の技能や技術、知識に加えて、指導者として訓練生に対する理解と配慮が必要です。
- 幅広い年齢層の人に対応できるコミュニケーションスキル
- 訓練生の理解力に応じてわかりやすい表現を使ったり、教える順番を変えたりするなどの臨機応変な指導力
- 高度な知識や技術を常にブラッシュアップさせる必要があるため、知識欲や向上心
職業大生が職業訓練指導員に一番惹かれた魅力
多くのスキルを求められる職業訓練指導員ですが、職業大生が惹かれた一番の魅力は自分の時間が確保できるという点です。
職業訓練指導員は公的な施設で働くため、免許を取得して一度職に就けば、安定して長く働ける職種だと言えます。
けっして指導員の仕事が暇、楽という訳ではなく、
労働時間が決まっているため、自分のスキルアップのための時間や家族との時間が取りやすいのというのが魅力ですね。
免許取得は1種類以外も可能。
全国の職業能力開発施設にはさまざまコースがあります。
授業を受け持つことが出来る範囲が広がると、働ける施設の幅も広がるため職業大生の内に転勤の可能性も考えて一つでも多くの免許を取ることをおすすめします。
まとめ
いかがでしたか?
職業訓練指導員は求職者や在職中の訓練生に対して職業訓練などを行う人です。
時には企業や地域のニーズに応じた訓練をし、雇用の安定や質を向上させる役割も担っています。
人に教える仕事のため、責任が伴いますが、訓練生の成長を間近で確認できるやりがいのある仕事になります。
そして職業能力開発総合大学校は職業訓練指導員を育成する目的で設置された面もあります。
職業訓練指導員への近道になっていることからも、職業能力開発総合大学校点に進学する1つの決め手にしても良いでしょう。
職業能力開発総合大学校の詳しい情報はこちらをご覧ください。